フィールドガイド · Astro Stacker 開発者 · 更新日

DeepSkyStacker・Sequator ユーザー向け:iPhone・iPad での合成

DeepSkyStacker(Deep Sky Stacker と表記されることもあります)と Sequator は、長年使われてきた Windows 用の無料デスクトップスタックソフトです。Astro Stacker は同じ基本的な考え方を iPhone・iPad に持ち込んだアプリで、無料プランと Pro へのアップグレードがあります。デスクトップのツールに慣れている方に向けて、なじみのある点、勝手が違う点、そして今でもパソコンを使うべき場面をまとめました。

デスクトップのスタックソフトと Astro Stacker に共通する4ステージの合成パイプライン:ライトフレームを撮影し、星の位置を合わせ、フレームを合成し、仕上げて書き出す
パイプラインはデスクトップのスタックソフトと同じです。変わるのはデバイス、入力ファイル、そしていくつかの未対応機能です。
かんたんな答え
  1. パソコンを使わずに iPhone・iPad で合成したいなら、Astro Stacker を選びましょう。
  2. ライトフレーム、ダーク、フラット、バイアス、ダークフラット、星の位置合わせ、カッパシグマ合成はそのまま引き継げます。
  3. 選ぶのは方式ではなくモードです。LRGB 合成、モノクロチャンネルの合成、ナローバンドのパレットはありません。
  4. ワンショットカラーカメラのカラー FITS ファイルはまだデベイヤーされないため、これらにはデスクトップのツールを残しておきましょう。

1. なじみのあるところ

基本のパイプラインは、すでにご存じのものと同じです。ライトフレームを星で位置合わせし、補正し、合成して、さらに処理を続けられる結果を保存します。

  • 補正用フレーム:Pro では、ダーク、フラット、バイアス、ダークフラットを合成の前に適用します。
  • 星による位置合わせ:共通する星を基準にサブピクセル精度でフレームの位置を合わせ、合成の前に各フレームの品質を評価します。
  • カッパシグマ除外:DeepSkyStacker ユーザーにはおなじみの方式です。標準の「高画質」モードで使われ、最も弱いフレームを自動で省きます。
  • さらなる処理のための出力:JPG、PNG に加えて TIFF と FITS で書き出せ、Pro では16ビットに対応します。
  • 入力:「写真」の写真に加え、Pro ではカメラ RAW、Apple ProRAW、対応する FITS を「ファイル」から読み込めます。

用語がはじめての方は、天体写真の合成のしくみで、位置合わせ、各合成方式、補正用フレームの種類をすべて解説しています。

2. 勝手が違うところ

動作環境
DeepSkyStacker と Sequator は Windows PC で動作します。Astro Stacker は iOS・iPadOS 17.0 以降の iPhone と iPad 専用で、合成は端末上で行われます。
ファイルの取り込み
ディスク上のフォルダを指定する代わりに、「写真」または「ファイル」App から読み込みます。まずセッションを本体のストレージか接続したドライブにコピーしてください。
設定ではなくモード
合成方式や位置合わせのメニューはありません。「クイック」(平均)、「高画質」(カッパシグマ、最も弱い10%のフレームを除外)、「最高精細」(カッパシグマとより精密な位置合わせ、最も弱い20%を除外)から選びます。
同じアプリで仕上げまで
自動ストレッチ、グラデーション除去、チャンネル別のカラーバランス、天体写真向けのスタイルを内蔵しているので、スマートフォンだけのワークフローでも共有できる画像まで仕上げられます。
風景の前景
Sequator は空の位置を合わせながら地上を固定できます。Astro Stacker は星を基準に位置を合わせるため、前景が流れることがあります。前景が重要な場合は、空と地上を別々に処理してください。
費用
デスクトップのツールは無料です。Astro Stacker には、1回の合成につきライトフレーム10枚まで・7日ごとに3回までの無料プランと、フレーム数無制限・RAW・FITS・補正が使える Pro のサブスクリプションまたは買い切りがあります。
メモリとストレージ
大きな FITS ファイルを一晩分扱うのは、スマートフォンには重い処理です。短いテスト合成から始めて、少しずつ増やしていきましょう。

3. Astro Stacker にできないこと

これらは実際に足りない機能です。ワークフローを移す前に確認してください。

  • LRGB 合成やモノクロチャンネルの合成はできません。モノクロカメラでフィルターを使って撮影している場合、Astro Stacker は別々の輝度・赤・緑・青チャンネルを1枚のカラー画像にまとめることはできません。
  • ナローバンドのパレットはありません。H-alpha、OIII、SII のデータに対する SHO、HOO などのパレットマッピングには対応していません。
  • ワンショットカラーカメラのカラー FITS はまだデベイヤーされません。多くのカラー天体カメラや一部のスマート望遠鏡は、ベイヤー配列のままの FITS を保存します。Astro Stacker は現時点でそのモザイクをカラーに変換しないため、こうしたファイルからはカラーの合成結果は得られません。
  • 合成方式や位置合わせを手動で選ぶことはできません。中央値、最大値、加重系の方式を自分で選んだり、位置合わせをオフにしたりはできません。
  • 星の軌跡の合成はできません。すべての合成は星を基準に位置合わせされるため、フレームを重ねて軌跡にすることはできません。
  • Windows 版はありません。Astro Stacker は iPhone・iPad 向けのアプリなので、PC ベースのワークフローはデスクトップのツールで続けてください。

4. どちらを使うべき?

デスクトップを使い続ける
モノクロ+フィルターのワークフロー、ナローバンドのパレット、カラーのベイヤー FITS、または PC のメモリやストレージが必要になる非常に大きなセッションの場合。
Astro Stacker を使う
iPhone・iPad で撮った星空写真、カメラ RAW の連続撮影、対応する FITS、撮影地での手早い確認、ノートパソコンを持たずに出かけるときに。
両方を使う
撮影地で iPad を使って合成してデータを確認し、本格的な処理はあとでパソコンで行います。TIFF と FITS で書き出せるので、その流れも妨げません。
迷ったら
まずは1回の合成につき一般形式のフレーム10枚までの無料プランを試し、Pro がご自分の機材に合うか判断してください。

アプリの各ステージは機能ページでご覧いただけます。

よくある質問

iPhone や iPad 用の DeepSkyStacker アプリはありますか?
いいえ。DeepSkyStacker は Windows 用のプログラムです。Astro Stacker は、iPhone・iPad で星の位置合わせ、補正、合成を行う別のアプリです。
iPhone 用の Sequator はありますか?
いいえ。Sequator も Windows 専用です。天の川の写真では、Astro Stacker は空の位置を合わせますが、風景の前景は固定しないので、地上は別途合成する計画を立ててください。
合成した結果を、あとでパソコンで仕上げられますか?
はい。TIFF または FITS で書き出し(Pro では16ビット)、デスクトップのソフトで開いてください。
パソコンはまったく必要ありませんか?
基本的なワークフローには不要です。読み込み、位置合わせ、補正、合成、仕上げ、書き出しのすべてが端末上で動作します。