かんたんな答え
- パソコンを使わずに iPhone・iPad で合成したいなら、Astro Stacker を選びましょう。
- ライトフレーム、ダーク、フラット、バイアス、ダークフラット、星の位置合わせ、カッパシグマ合成はそのまま引き継げます。
- 選ぶのは方式ではなくモードです。LRGB 合成、モノクロチャンネルの合成、ナローバンドのパレットはありません。
- ワンショットカラーカメラのカラー FITS ファイルはまだデベイヤーされないため、これらにはデスクトップのツールを残しておきましょう。
1. なじみのあるところ
基本のパイプラインは、すでにご存じのものと同じです。ライトフレームを星で位置合わせし、補正し、合成して、さらに処理を続けられる結果を保存します。
- 補正用フレーム:Pro では、ダーク、フラット、バイアス、ダークフラットを合成の前に適用します。
- 星による位置合わせ:共通する星を基準にサブピクセル精度でフレームの位置を合わせ、合成の前に各フレームの品質を評価します。
- カッパシグマ除外:DeepSkyStacker ユーザーにはおなじみの方式です。標準の「高画質」モードで使われ、最も弱いフレームを自動で省きます。
- さらなる処理のための出力:JPG、PNG に加えて TIFF と FITS で書き出せ、Pro では16ビットに対応します。
- 入力:「写真」の写真に加え、Pro ではカメラ RAW、Apple ProRAW、対応する FITS を「ファイル」から読み込めます。
用語がはじめての方は、天体写真の合成のしくみで、位置合わせ、各合成方式、補正用フレームの種類をすべて解説しています。
2. 勝手が違うところ
- 動作環境
- DeepSkyStacker と Sequator は Windows PC で動作します。Astro Stacker は iOS・iPadOS 17.0 以降の iPhone と iPad 専用で、合成は端末上で行われます。
- ファイルの取り込み
- ディスク上のフォルダを指定する代わりに、「写真」または「ファイル」App から読み込みます。まずセッションを本体のストレージか接続したドライブにコピーしてください。
- 設定ではなくモード
- 合成方式や位置合わせのメニューはありません。「クイック」(平均)、「高画質」(カッパシグマ、最も弱い10%のフレームを除外)、「最高精細」(カッパシグマとより精密な位置合わせ、最も弱い20%を除外)から選びます。
- 同じアプリで仕上げまで
- 自動ストレッチ、グラデーション除去、チャンネル別のカラーバランス、天体写真向けのスタイルを内蔵しているので、スマートフォンだけのワークフローでも共有できる画像まで仕上げられます。
- 風景の前景
- Sequator は空の位置を合わせながら地上を固定できます。Astro Stacker は星を基準に位置を合わせるため、前景が流れることがあります。前景が重要な場合は、空と地上を別々に処理してください。
- 費用
- デスクトップのツールは無料です。Astro Stacker には、1回の合成につきライトフレーム10枚まで・7日ごとに3回までの無料プランと、フレーム数無制限・RAW・FITS・補正が使える Pro のサブスクリプションまたは買い切りがあります。
- メモリとストレージ
- 大きな FITS ファイルを一晩分扱うのは、スマートフォンには重い処理です。短いテスト合成から始めて、少しずつ増やしていきましょう。
3. Astro Stacker にできないこと
これらは実際に足りない機能です。ワークフローを移す前に確認してください。
- LRGB 合成やモノクロチャンネルの合成はできません。モノクロカメラでフィルターを使って撮影している場合、Astro Stacker は別々の輝度・赤・緑・青チャンネルを1枚のカラー画像にまとめることはできません。
- ナローバンドのパレットはありません。H-alpha、OIII、SII のデータに対する SHO、HOO などのパレットマッピングには対応していません。
- ワンショットカラーカメラのカラー FITS はまだデベイヤーされません。多くのカラー天体カメラや一部のスマート望遠鏡は、ベイヤー配列のままの FITS を保存します。Astro Stacker は現時点でそのモザイクをカラーに変換しないため、こうしたファイルからはカラーの合成結果は得られません。
- 合成方式や位置合わせを手動で選ぶことはできません。中央値、最大値、加重系の方式を自分で選んだり、位置合わせをオフにしたりはできません。
- 星の軌跡の合成はできません。すべての合成は星を基準に位置合わせされるため、フレームを重ねて軌跡にすることはできません。
- Windows 版はありません。Astro Stacker は iPhone・iPad 向けのアプリなので、PC ベースのワークフローはデスクトップのツールで続けてください。
4. どちらを使うべき?
- デスクトップを使い続ける
- モノクロ+フィルターのワークフロー、ナローバンドのパレット、カラーのベイヤー FITS、または PC のメモリやストレージが必要になる非常に大きなセッションの場合。
- Astro Stacker を使う
- iPhone・iPad で撮った星空写真、カメラ RAW の連続撮影、対応する FITS、撮影地での手早い確認、ノートパソコンを持たずに出かけるときに。
- 両方を使う
- 撮影地で iPad を使って合成してデータを確認し、本格的な処理はあとでパソコンで行います。TIFF と FITS で書き出せるので、その流れも妨げません。
- 迷ったら
- まずは1回の合成につき一般形式のフレーム10枚までの無料プランを試し、Pro がご自分の機材に合うか判断してください。
アプリの各ステージは機能ページでご覧いただけます。
よくある質問
- iPhone や iPad 用の DeepSkyStacker アプリはありますか?
- いいえ。DeepSkyStacker は Windows 用のプログラムです。Astro Stacker は、iPhone・iPad で星の位置合わせ、補正、合成を行う別のアプリです。
- iPhone 用の Sequator はありますか?
- いいえ。Sequator も Windows 専用です。天の川の写真では、Astro Stacker は空の位置を合わせますが、風景の前景は固定しないので、地上は別途合成する計画を立ててください。
- 合成した結果を、あとでパソコンで仕上げられますか?
- はい。TIFF または FITS で書き出し(Pro では16ビット)、デスクトップのソフトで開いてください。
- パソコンはまったく必要ありませんか?
- 基本的なワークフローには不要です。読み込み、位置合わせ、補正、合成、仕上げ、書き出しのすべてが端末上で動作します。
さっそく試すなら、iPhone での合成ガイドまたはiPad で FITS を扱うガイドをご覧ください。